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7 鐙田(あぶみだ)


白幡神社を過ぎて往還を西に進む。
右手はかつては田圃や沼地の向うに八反甫の松並越しに海を望めたのではないだろうか。
今は内房線が併走し、その向うは埋立られコンビナート群が立ち並ぶ。
左手には古木に囲まれた家々が続き、かつての面影を偲ばせる。

急に町並みが開け、カラオケ、スーパーなどに風景が替わる。
人形の鯉徳の先に『久留里西往還』への分岐点、そして『大道下』のバス停に至る。
この一角に昔ながらの履物やレトロな建物の呉服屋が並び、ここだけが時が置き忘れたと思われる場所があり、懐かしさを覚える・・・いつまでも残したい町並みである。

この辺り一帯は「鐙田」と呼ばれる湿地帯であったという。
「鐙田」の謂われは、鐙(鞍の両脇に下がっている乗馬時や馬に跨ったとき足を架ける馬具:腰ほどの高さにある)までもぐるような田、湿地帯が続いていたことによる。

往還を久留里街道が横切る姉ア交差点にでる。
右折すると鐙田陸橋であり内房線を跨ぐ。昔は踏み切りであり、朝夕の通勤帯は「開かずの踏み切り」で姉崎交差点の混雑と相まって激しい渋滞の名所であったが、今はかなり解消されている。