漁 獲

姉崎の海ではどのような漁法・漁獲があったのだろうか。
藤根橋にある八反甫の石碑には、
 『タイ、カレイ、キス、チコ、ボラ、セイゴ、アジ、サヨリ、エビ、ハセ、カニ、其他』
とあるが、これは観光用としての船釣、簀立などの漁獲であり、半農半漁の生活を営む人々は、多様な漁法でさらに多くの漁獲を得ていたようである。
『今津朝山のあゆみ』によれば
3月下旬〜4月下旬藻流し網ギンボウ、小エビ
4月下旬〜5月下旬 イカ
4月下旬から沖流し網大エビ、穴子、シャコ、ハゼ、小エビ
5月〜7月下旬州(エ)流し網エビ
5月〜9月小晒(コザラシ)網イワシ
9月〜11月下旬八手(ハチダ)網ヒシコ(小イワシ)
と季節により漁法を替えて、魚を獲っていたようである。

また、お隣の五井では『五井漁業史』に次のような「漁業生産実態調査」を記録されている。
姉崎でも、同じ魚が獲れていたことであろう。
漁法打瀬小晒イカ網
ツノビキ
ヒトデカニ刺ボラ刺イナ
刺網
セイゴ
刺網
イシモチ
刺網
見突きコウナ
ゴ網
ナガモ箕立
業態数2315 121025551014 5 5301
漁船数231512102555104510  
うち
動力付
2315 0  222000  
うち
無動力
0012  3384510  
漁期
5-11
9-104-64-57-99-119-119-116-74-54-554-8
出漁
延日数

36
15401540373037 2120302153
年間
総漁
獲高

11,071.8
1,7655344,000 3,535630347.585537250 6,7503,000948
年間
魚種別
漁獲高
クルマエビ
377.8貫
アカニシ
1,104〃
ツメタガイ
714"
アカハゼ
8,561〃
アナゴ
301〃
シャコ
14貫
マイワシ
1,765
スミイカ
534
ヒトデ
4,000
カニ
3,535
ボラ
630
イナ
347.5
セイゴ
855
イシモチ
372
カレイ
36
コチ
14
イカナゴ
6,750
ナガモ
3,000
イナ
106
ボラ
179
カレイ
133
カイズ
342
カニ
158
コチ15
スズキ
15

11.071.8
1.7655344,0003,535630347.5855372506,7503,000948
(注)東京湾漁業生産実態調査第1巻・財団法人水産研究会・昭和24年より。

 昭和21年昭和22年 
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
カレイ
40

120

80

90

70

70

70

50

 

30

30

85

735
ボラ100 506050505050   60470
セイゴ80100304080304060 403035565
カイズ150 3001005040       640
フツコ305015         95
イワシ 1,0006,0001,5002,300500300200     11.800
ハ ゼ 3010306080      210
アカエイ 2006080        340
アジ  3005008008050     1,730
カマス  20         20
ワカシ  120         120
イシモチ  101,600700100      2,410
スズキ  307030       130
キス   103040      80
雑魚        150504070310
イカ308020         130
シヤコ 30          30
カニ  20080500250100     1,130
エビ     15030     180
4301,9107,0554,1304,6701,31064036015012010025021,125
金額計
15,100

53,200

127,400

78,050

83,350

27,520

11,690

6,050

3,000

2,830

2,330

3,450

413,970
(注)東京湾漁業生産実態調査第1巻・財団法人水産研究会昭和24年より。


「今津朝山のあゆみ」 野崎馨 著 昭和58年 
  「五井漁業史」 五井漁業史編纂委員会 昭和63年