とうぞ


『とうぞ』は市原と長南地区特有の郷土料理で、我が姉埼地区でも広く造られ食べられていました。
『とうぞ』は味噌を造る段階で出た豆の煮汁を使った発酵食品です。
昔は多くの家々で味噌づくりをしており、副産物として「とうぞ」を作っていましたが、
自家製の味噌つくりをする家庭がすくなくなり、「とうぞ」も忘れ去られようとしています。
「とうぞ」は、大豆の煮汁に、煮た大豆(味噌豆)・干し大根・麹・塩を入れ、これを寝かせて発酵させたものです。
味噌作りは全国各地で行われていましたが、味噌豆の煮汁を捨てずに利用するのはこの地域だけの様です。

「とうぞ」は暖かいご飯にかけたり、お湯で薄めて味噌汁代わりにして食べます。
『昼飯くったか?』『とうぞで食った』こんな会話はしょっちゅうだったとか
忙しい折は、ご飯に「とうぞ」をぶっかけ、サッとかきこむ 他のおかずは要らない、便利なおかずだったのでしょう。

味噌作りが行われる年末から2月頃にかけて「とうず」も造り、発酵食品のため発酵し過ぎると酸っぱくなるため、冷蔵庫のない昔は、暮から春の彼岸ころまでの季節食品でした。
初めての人にとってはチョッと引いてしまう「臭い」と「見た目」であるが、慣れると病みつきになる人も多いとか。 
房の駅では赤石味噌麹店製の「御豆造(おとうぞ)」が販売されています。


※蛇足
「とうぞ」は「豆造」の漢字が充てられていますが、「豆汁」を充てるとの説もあるようです。
 片又木では「とうぞ」が発酵し過ぎて酸っぱくなることを「かっだす」というそうである。(語源不明)

 

◇材料

◇前準備
・干し大根
  大振りに

 干し前後の大根


・煮汁 煮あがった豆・汁


◇とうぞ作り
1.干し大根を刻む

5..材料を混ぜ、塩を加減
 

◇「とうぞ」のレシピ

「とうぞ」は、家々で秘伝?の味付けを持っており、味噌汁同様、家庭の味・ソウルフードである。
片又木在住のSおばあちゃん(81才)に「S家のとうぞ」を作ってもらいました。
Sばあちゃんは「分量はいい加減(勿論、良い加減の意味)」というが、初心者には分かり難い。3種類のレシピを探しましたので、これを参考にして、失敗を重ねてご自分の「いい加減」を見つけてください。

■材料(参考)
   レシピA  レシピB    レシピC
大豆の煮汁  1.8リットル   1升  2リットル
   カップ1/2  1合  100g
米こうじ   カップ3 3〜4合   150g
干しだいこん   細めのもの5本  1本  適量
煮た大豆 2.5カップ  5合  300g
寝かせ期間  4〜5日  10日  1週間


前準備
1.干し大根作り
 ・小振り大根を二つ割にして、それぞれに切れ目を入れて、10日ほど干す。 
 ・大振りに切った方が歯ごたえが良い。
2.大豆の煮汁つくり
 ・一晩水につけてた大豆を、たっぷりの水で、弱火で3時間ほど煮る。
 ・ざるにあけ、豆と煮汁を分けて煮汁・豆をそれぞれ冷たくなる冷やす。

これで前準備完了
いよいよ「とうぞ」作りである。

1.干し大根にお湯を掛けて絞り、大豆程度の大きさに刻む。

2. 冷えた煮汁に1を入れてかき混ぜる。

3.上記に煮た大豆を入れてかき混ぜる。

4. 上記に麹を入れてかき混ぜる。

5. 上記に塩を入れてかき混ぜる。
 少しずつ塩を加え、強めの塩味(いい塩梅)ととなるよう塩を加減する。

6. 保存用容器に入れ、4〜5日寝かせたら出来上がり。

    



参考文献
  市原するさとの味 アグリライフ市原 平成16年10月発行
  千葉県ホームページ