モモクッテ

  7月20日の姉埼神社の夏季例大祭の早朝、神輿の町内巡行に先立ち、宮本・上町・下町の各地区ごとにそれぞれ『お獅子』が町内を清めて廻る。 
この『お獅子』と一緒に子供たちも「桃食って こてらんね」といゝながら戸別をまわり、「オヒネリ」を貰い歩く子供の行事である。『お獅子』は各地区の町会から町会へと引き継がれて姉埼神社に戻る。
「モモクッテ コテェランネ」というのは「オモクテ コテェランネ」のあやまりだと云ふ説もある。つまり「みこし」が重い年は豊作であるという伝説からきているという、豊作にからむ行事だという。
残念ながら現在は行われていない。


上の絵は明治末に描かれた行事の様子
(故郷姉崎町年中行事 斎藤孝編纂 廣瀬蘆竹画)  
 
下の写真は、行事に使われた三体の獅子頭(姉埼神社 蔵)


 
   姉埼神社での「モモクッテ」は現在は行われていないが 、椎津・八坂神社では現在も継承されている。
毎年7月22日、八坂神社夏季例大祭での神輿渡御に先立ち、子供たちが獅子頭を先頭に椎津地区の各家々を「モモクッテ コテェランネ おししが舞い込んだ!!」と叫びながら廻る。 
家々では「御苦労さま!」と子供たちをねぎらいながら、お獅子の口に「オヒネリ」を抛りこむ。
神社から授かった榊で、子供が家の人をお祓いをする。 お獅子に頭を噛んで貰い、こどもが健やかに育つことを祈願する。 また、菓子や飲み物を用意して子供たちを迎える家も多くある。



(はやしことば)
 桃食って こてらんね  お獅子が舞い込んだ
 桃食って こてらんね  お獅子が舞い込んだ

音声('1989/7/22 録音)

想いで

想いで(込山氏 椎津在住)


<少年の日の幻想曲 坂本武雄 より>
姉埼神社の祭礼の午前中に、『桃食って』という子供の行事があった。
『桃食って』は『かたびて』と同じ顔ぶれであった。
集合場所も同じ稲荷神社の祠の前であった。
獅子舞いの狭い被いの中に何十人もの子供が潜りこんで、
 桃食って こてらんね  お獅子が舞い込んだ
 桃食って こてらんね  お獅子が舞い込んだ
と、連呼しながら、各家々を練り歩いた。
獅子を迎えた家では、無病息災を願って獅子の歯で噛んでもらった。
噛んでもらうと、獅子の口の中にお捻りを入れた。西瓜、梨、桃を呉れる家もあった。
獅子舞いにくっついていないと、お捻りの分け前に有り付けなかった。何十という小さいお尻が被いの外にはみ出して、引っ張り回された。
夏の真っ盛りで、獅子舞の中は茹蛸で一杯だった。茹蛸は目を眩ました。
昼頃から神輿が出た。


 参考文献
  相川誉夫(よしお)氏(姉崎在住) 提供資料
  『少年の日の幻想曲』 坂本武雄著  東洋経済社  平成4年