
正月4日に行われた子供たちの行事。
子供達が『かたびて(ばたくさ)がめって、かたびて(ばたくさ)がめって』とはやしながら、各家々を拵え物の『大判・小判・臼・杵・鍬』等々を配って廻った。
各家では『ご苦労さんでした』といって盆の中身を神棚にあげ、おひねり、供餅、お菓子などを盆の中に入れてくれる。
『大尽(でぇじん)だ、大尽だ、金蔵たてろ、どんどこたてろ!』とはやしながら帰る。
海側では『かたびて』、山側では『ばたくさ』と呼ばれていた。
五穀豊穣を願った行事であったが、現在では行われていない。
<歌(姉崎/仲町・斎藤信子氏)> サウンド(WMA 72K) 時間 27秒
拵え物
大判・小判・銭:『メガネ』(正月、トシガミサマに捧げ物をする容器:写真左)の輪と底を剥がす。輪の部分に紙を巻き「大判」「小判」と書く。
底の部分を大小四角に小切りして「小銭」とする。

臼・杵・鍬・鎌等:アーボの木(:一位の木 ところによっては桑の木・柳の木)を輪切りにして「臼」を、枝で「杵・鍬・鎌・鋤・マンノウ」等を作る。海側では「船・櫂」も作られた。
かたびて
拵え物を四角いお盆に並べ、上から風呂敷を被せる。盆の左右を年嵩の二人が持ち、周囲に何人もの子供たちがついた。二組に別れ繰り出していく。
『かたびて(ばたくさ)がめった、かたびて(ばたくさ)がめった』と云いながら各家々を廻り、これを配って歩いた。
各家では『ご苦労さんでした』といって盆の中身を神棚にあげ、おひねり、供餅、お菓子などを盆の中にいれてくれる。
これを貰った子供たちは『でぇじんだ、でぇじんだ、かねぐらたてろ、どんどこたてろ!』とはやし、次ぎの家へと向っていった。
全部を廻り終えると貰った餅を焼いて食べたり、お金を全員で分けた。

参考資料
「少年の日の幻想曲」 坂本武雄著 東京経 平成4年
先頭の絵は、広瀬蘆竹画(斎藤信子氏蔵)