三つ目牡丹餅

姉崎地域の風習
子供が生まれて三日目に母乳が沢山でるように母親に「牡丹餅」を食べさせると共に、近所・親戚に大きな「牡丹餅」を配る。
姉崎地区では慶事は「牡丹餅」、仏事は「おはぎ」となっており『三つ目牡丹餅』というが、全国には『三つ目おはぎ』と言う地域もある。

☆小出 様より情報を頂きました。
『三つ目牡丹餅について』
私は旧姉崎町永藤(現在の不入斗)の生まれですが,出産のとき牡丹餅を作ってもらいました.柏原の生まれの母は、産婦のお乳が良く出るように牡丹餅をたべさせたのだと教えてくれました。実際,出産3日目に牡丹餅を食べたら,その日はお乳がとてもよく出ましたので,これはほんとうだな,と感じました.


「資料館」ではお菓子屋さんにアンケートを送り、同じような風習があるか、お尋ねしました。 そのまとめです。
1 回答率 回答36件(56%)
  北海道から宮崎までの広範囲の方々より頂きました。

2 『三つ目牡丹餅(おはぎ)』がある地域
  茨城県/水戸市・鹿島地区・波崎地区
  千葉県/銚子市H・市原市・他
  神奈川県/横浜市
  愛知県/名古屋市H・西加茂郡H
  (Hは「三つ目のおはぎ」を掲載しているHPを開設しているお店の所在地)

・福井県/奥越地方 話を聞いたことはあるが確認できない。
・富山県/新中河郡 「三つ目の団子」
   子どもが生まれて三日目に団子汁を食べる、配る。
   この「団子汁セット」を販売している。
・全国的にあった風習だが、忘れ去られているとの意見もあった。
・配るものは「おはぎ・ぼた餅・もち米を丸めず上に餡をのせたもの・赤飯」と地域によって差がある。

  3 いわれ
・母乳が良くでるように、食欲の出てきた産後三日目に小豆・餅を母親に食べさせた。そのおすそ分けを近所へ配った。(大多数がこの意見)
・子どもが生まれると村中へ挨拶廻りを行い、これで子供が認知された。 このとき「おはぎ」を添えた。
・小豆の「赤色」は悪霊を祓うとの陽力があると言われている。
 子どもの健やかな成長を願って「おはぎ」を作った。

・なぜ三日目かの疑問に興味ある情報
福井県/武生市・嶺南地域に「三つ目」と言う行事あり。
三日目に子どもの頭髪を剃り、綿をかぶせる、大勢で踏みつける等で子どもの健やかな成長を願掛けする。 三日目が厄日と言う考えがある。この災厄を祓うため髪を剃った。
4 似たような風習(沢山頂きました、主なもの、変わったものを紹介)
・一升餅 青森・群馬・愛知・福岡・・・こちらの方が全国的!?
 一才の誕生日に一升餅を背負わせ歩かせる、または餅を踏む。
・はらみ餅 帯締め団子 滋賀・神奈川
 妊娠5ヶ月の戌の日に「岩田帯」を巻いた。この日に親戚近所へ配る。
・コロ餅(団子) 石川県
 コロコロ転がるように生まれるとの安産祈願に、団子を混ぜた餅を卵型に丸め近所に配る。 これは煮炊きせずそのまま食べる。

   =>産婦に母乳が良く出るようにと餅などを食べさせることは全国的に行われていたと思われる。 乳児の死亡率の高かった昔は三日目が厄日であり(?)、また産婦が食欲の出てくるのが三日目位でありこの時に餅などを作って食べさせ、お祝いをしていたのではないだろうか。
昔はどこの家でも「牡丹餅、おはぎ」を作っていたので、これを親戚・近所に配ることは全国的に行われていたが、現在は「牡丹餅、おはぎ」を家で作ることがなくなり、その風習が忘れ去られており、一部の地域で残るだけとなっているのでは。。。。