いちじく


平成17年8月31日放送のNHKお昼の番組『いっと6けん』に、このコーナの相川ご夫妻が出演されました。
相川様のご好意で、当館の名称・URLも放映されました。
   



  姉崎といちじく

  いちじくの効能

  デザートのレシピ

  皇室献上

  姉崎銘菓 いちじく饅頭

  生産者訪問


写真提供 相川誉夫氏(姉崎在住)

<姉崎といちじく>

桑科に属する果樹、初夏になると葉のわきに袋状の小花をつける。
実の内側に多数の小さな花をつけるが、外から見えないところから「いちじく(無花果)」と名付けられている。
原産地は小アジアともアラビア南部ともいわれているが、日本には江戸時代の初めに中国から渡来した。

姉崎いちじくの誕生のいきさつ
『姉崎地区におけるいちじく栽培の歴史』についての研究発表が、長谷川英司氏(市原市文化財研究会会員 市原市白塚在住)により昭和53年になされている。
それによると、明治末期か大正初めのころ森田喜一郎氏(後の校長)が「サンペロホワイト」という品種を試作したのが始まりとされている。
その後大正八年ころから「西洋いちじく」「白いちじく」等の栽培・品種改良が行われたがなかなか成果があがらなかった。
昭和四年ころ、森田喜一郎、相川吉郎、露崎金蔵の三氏が、広島県佐伯郡富田村桝井光次朗氏から導入した新たな品種を植付けたといわれ、これが現在の栽培の発祥と思われる。 この品種(桝井氏の名前をとって、桝井ドウフィンと呼ばれる)が現在栽培されているものの殆どである。
昭和六年森田喜一郎氏は『姉崎農業実科学校』(別展示 参照)を創立し多くの門下生を輩出し、いちじくの栽培はこれら門下生また農業者によって受け継がれている。
昭和53年当時は姉崎、海上、東海地区を中心に約百六十戸の農家で栽培され、作付け面積三十f、年間四百dの生産量があり、東京市場の六十%近くをまかなう主産地であった。
現在では後継者の減少、宅地化等により、生産農家約三十五戸、面積七f、生産量百二十dまでに減少した。

資料館より:先輩達が苦労して育てた『姉崎いちじく』のブランド。健康食品としていちじくが見直されている昨今。何とか盛り返したいものである。

<いちじくの効能>
いちじくは噛んだときの種の粒々した食感と独特の甘みと香りが好まれ、 現在では生食することが多いが、古くは消化促進、健胃、整腸、痔など に薬効があるため、食用より薬用として用いられていた。
いちじくにはフェシンというタンパク質を分解する酵素が豊富に含まれて おり、料理に使えば肉を柔らかくし、食後に食べると消化を助け、快便を 促し、便秘や痔に効き目があると言われている。
また、食物繊維をはじめ、ビタミンB1,B2,C,カルシュウム、鉄などの ミネラルといった優れた栄養素で、中でも食物繊維のペクチンは腸の活動 を活発にさせる働きを持っており、便秘には抜群の効果がある。
ペクチンは腸の中をきれいにして、コレステロールの吸収をおさえるため、 油っぽいものを食べたあとのデザートにぴったりです。
いちじくには成人病の原因となる坑酸化物質の活性酸素を除去するポリフェノール (赤ワインに含まれて注目をあびている)がふくまれている。 無花果はアルカリ性食品 痔にも良い食べ物であり、そのまま食べてもいいし、煎じて煮出した液を患部 につけても効果があり、液をお風呂に入れて入浴すると痔の予防にもなる。

生薬として
秋に収穫した果実を天日で乾燥させたもの=無花果(むかか)
真夏に葉を採取して水洗いし天日で乾燥させたもの=無花果葉(むかかよう)
生食で無花果 無花果葉白い乳液
便秘に効果あり 健胃、
整腸
の作用、潤腸作用
もあり。胃腸が弱くて、
下痢をしたりする症状
には実を食べる
とよい。
生食と同じ効果、下痢、
便秘
に効果がある
また、のどの炎症を和ら
げるので、風邪の時の
のどの痛みによい
煎じたものを、空腹時に
服用すると血圧降下
効果あり。
お風呂に入れると神経痛
に効果あり
葉や茎を傷つけると
出てくる白い乳液。
タンパク質分解酵素を
含むので、虫下し、いぼ
とり
に使用される。
肌につくと荒れるので注意


<デザートのレシピ >
  いちじくは生でそのままいただくのが一番おいしい! そうです.そのとおりです.
でも,いちじくがたくさん手に入ったら,ぜひ,こんなデザートもお試しください.
あなたのいちじくワールドがきっと広がります.

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 いちじくのコンポート
     
 材料  いちじく 500g
 三温糖  100g
 はちみつ  50cc
 しょう油  大さじ2

いちじくを水洗いして,へたを1cmくらい包丁で切り落とす.
なべにいちじくを入れ,三温糖とはちみつをいれて30分ほど煮る.
よく煮えるように,時々いちじくを裏返し,よく味がしみたら,分量のしょう油を入れる.
しょう油を入れることによっていちじくに味がよくしみます.
火を止めてそのまま2,3時間さます.その後冷蔵庫に入れて冷やす.
よく冷えたらお気に入りの器にのせて,ちょっとおしゃれに味わってみてください.
意外なおいしさです.
このコンポートは冷凍庫で一年くらい保存が利きます.安く手に入るときにたくさん作っておいて,ゆっくり楽しめます

いちじくのミルクゼリーマロン添え
     
 材料  いちじくのコンポート 4個
 粉寒天 1袋
 牛乳  600cc
 砂糖  240g
 瓶詰の栗の甘露煮 適宜

いちじくのコンポートを利用して一工夫

なべに牛乳をいれ,火にかける前に粉寒天をとかす.
よくかき混ぜて完全に溶けたら,分量の砂糖を入れて,火にかける.
弱火で沸騰するまでかきまぜる.
火を止めて,少しさます.
お好みの器にいちじくのコンポートを入れ,静かに寒天液を注ぐ.
冷蔵庫に入れて冷やす.
よく固まったら,マロンをのせて,どうぞ.

いちじくのロゼシャワー
     
 材料  いちじくの赤ワイン煮
   いちじく(少し固めのもの)500g
   赤玉ワイン       300cc
   白砂糖         170g
 チェリー  適宜
 サイダー
 氷

はじめにいちじくの赤ワイン煮をつくります.
いちじくはよく水洗いをする.
包丁で面取りをするように,6角形に皮をむく.
大き目のなべに,赤ワインの半量150ccと砂糖170gを入れ,弱火で沸騰させる.
ひと煮立ちしたら火を止めて,いちじくを並べ入れる.弱火で10分から15分煮る.
なべの汁がピンク色になり,いちじくを串でさして柔らかくなったら,火を止めて,2〜3時間さます.
よくさめたら,ワインの残り150ccをいちじくにかけ入れて,冷蔵庫で一晩冷やす.
ワイングラスにいちじくを1個入れ,煮汁を入れる.好みでサイダーと氷を入れる.
チェリーを飾ってできあがり.
  ワインは赤玉ワインを使うときれいなピンク色に仕上がります.

いちじくのワインゼリー
いちじくのロゼシャワーで作った赤ワイン煮を使って,ゼリーも作れます.
  
 材料  いちじくの赤ワイン煮
 粉寒天 1/2袋
 赤ワイン煮の煮汁300cc
 ホイップクリーム 適宜

赤ワインの煮汁は,さましておく.
煮汁に粉寒天を入れ,よくかき混ぜてから火にかける.
沸騰したら火を止めて,あら熱をとる.
ワイングラスにいちじくの赤ワイン煮をひとつ入れ,寒天液を入れる.
冷蔵庫に入れて,固まったら,ホイップクリームで飾ってできあがり.

いちじくのトロピカルゼリー
    
 材料  いちじくの白ワイン煮  
 いちじく(色のよいもの)500g
 白ワイン       100cc
 レモン          1/2個
 三温糖         170g
 市販の青りんごゼリーのミックス
 缶詰のパインアップル
 チェリー

まず,いちじくの白ワイン煮を作ります.
いちじくを水でよく洗って,へたを包丁で1cmくらい切り落とす.
なべにいちじくを入れ,三糖,レモンの輪切りを加えて弱火にかけ,30分程煮る.
一たん火を止め,2時間ほどさます.
さめたら,もう一度弱火にかけ,30分ほど煮る.
味が十分しみたら,白ワインを入れて火を止める.
よくさましてから,冷蔵庫に入れて冷やす.
次にゼリー液を作る.ここでは市販の青りんごゼリーのミックスを使って手軽に.
青りんごゼリーミックスを分量の熱湯でよく溶かし,少しさましておく.
いちじくの白ワイン煮を入れたワイングラスにゼリー液を入れ,冷蔵庫に入れて冷やし,固める.
固まったら,パイナップルとチェリーを飾る.

  いちじくのババロア

  
 材料  いちじくの白ワイン煮
 市販のババロアのミックス
 (農協のかんてんパパのババロリア)
 オレンジソース

いちじくの白ワイン煮を使ってもう一品.
市販のババロアミックスを使って簡単にできる,すてきなデザートです.
ババロアミックスを分量の熱湯でよく溶かして,ババロア液を作る.
お好みのババロアの型(なければ,ボールや深皿でもよい)にババロア液を入れる.
少し冷めたところで,いちじくの白ワイン煮を入れて,冷蔵庫で冷やし固める.
よくかたまったら,形が崩れないように気をつけて,皿に返し,切り分ける.
お気に入りのお皿に盛り付け,オレンジソースをかけてできあがり.

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いちじくのデザート.いろいろ工夫して楽しんでみませんか
皆さん姉崎のいちじくを,どうぞたくさん召し上がってください.
調理法の指導は姉崎在住の相川敏子さんでした.



<皇室献上>
 姉崎いちじくは毎年、皇室へ献上されています。
平成13年9月8日付日本農業新聞の記事を紹介します。

 JA市原市の姉崎無花果組合の相川誉夫さんが六日、皇室へ献上するするイチジクを収穫し、えりすぐられたイチジク四ケースは、即日献上された。
 イチジクの献上は、同市の出光興産(株)を窓口に房総の特産品として、昭和三十年代から続いており、毎年良品の生産団体として名高い「姉崎無花果組合」の組合員が、丹精して育てた極上品を提供している。(以下略)


<いちじく饅頭>
 
姉崎の和菓子の老舗「松月堂」さんでは特産のいちじくを使った和菓子を創作しました。いちじくの風味を損なわず、通年販売できるように苦心したそうです。

『市原特産のいちじくの果肉をたっぷりと使った姉崎松月堂オリジナルのいちじくまんじゅう 手作りのやさしさが伝わる一品です』
松月堂ホームページより(玄関バナー、LINKに登録)

資料館より:いちじくの香り、ツブツブした歯ざわりがあり美味しいかったです。先が割れた『いちじく』の形もかわいい。。。是非一度ご賞味ください!


<生産者訪問 >
六月の手入れの最中、畑におられた海保にお住まいの相葉さんにお話を聞きました。
無花果は機械化が難しく、箱詰めまで全て手作業だそうです。
白い樹液に触れると皮膚がかぶれるため、初めてだとヒドイ目に会うとのこと。
・・・なるほど相葉さんの腕は仕事の勲章に覆われていました。
写真は自慢の無花果畑と相葉さん

   <栽培暦>

 作 業 
 12月 剪定(一回目)
1〜
  2月 
元肥・畑整備
  3月 剪定(ニ回目)・薬剤散布
  4月 20日頃芽が出る
5〜
  7月 
芽欠き・枝の誘引・薬剤散布
一葉にひとつの実とするため芽を欠く。次々と芽が出るためこれが大変!
陽射しが奥まで届くよう、枝折れしない様紐で枝を誘引する。
8月上旬〜
11月上旬 
収穫:収穫期が長く大忙し!
実が熟すと柔らかくなるので潰さないように摘む。
傷つけると商品価値が無くなる。鳥達にも注意!


無花果は植えてから2年目位から収穫ができ、「一文字仕立て」で10年位まで収穫ができる。
出来具合は天候に左右されるが、大敵は「根瘤線虫」(これは根に瘤が出来てしまう病気)で薬剤散布が欠かせない。 現在は薬剤を押さえるため「土壌洗浄作物」として「ネマクリーン」等草花を根元に植えている。(あの黄色い花を咲かせる「マリーゴルド」も洗浄作物として植えられているそうである。)
無花果は傷がつくと商品価値が低下するため、実同士が風でぶつからないよう、雨の跳ね返りが掛からない様にするなど細かいところまで気を使う。
完熟させた物が美味しいが、収穫時期に雨に当たると痛みやすい、鳥がついばむ、柔らかいため扱いに手間が掛かる等の苦労がある。


  つちぼこりーむらの農業しー 長谷川英司 昭和63年発行