八反甫石碑群


  昭和28年頃 姉崎在住の齋藤孝氏は、白い砂浜と緑の松が続く美しい砂浜、夕陽が素晴らしい景勝地である『八反甫』を、世に広めようと数多くの石碑を建てました。 この石碑群を「市原市ふるさと文化研究会」の手によってふじね橋脇(ホテル・タカザワの裏)に纏められています。
ここでは、その石碑の碑文を紹介します 。

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<石碑@>

    
名勝 八反甫の碑について

 昔、ここは八反甫といい、白砂青松の海岸が連なり、西は富士、
東ははるかに姉崎神社の鬱蒼とした森が見える風光明媚なところで
した。
 姉崎、斉藤 孝(1876〜1967)は、ふる里を愛し文化の
高揚を願う心からここに数々の碑を建て八反甫を姉崎の名勝地と
して世に広めました。
 ふる里の貴重な歴史を語りかけてくれる史跡です。
大切に致しましょう。
  平成八年八月
          市原市ふる里文化研究会
   <石碑A>

長閑さや 眺め見渡す 真帆佳
冬日に 汐干狩する ニ三人
名月や 見渡す限り 山と水
   七十七翁 世外
故郷名所を後世永く残 石碑
<裏>
姉崎村鶴牧藩水野壱岐守壱万五千石城下
神社 延喜式内 姉崎神社
佛閣 妙経寺旧御朱印拾石
   塔中拾坊、末寺七ヶ寺
名勝 八反甫夕照名所
   富士、筑波 内湾一望
事蹟  義僕市兵衛記、孝子五郎傳
    姉崎鶴牧藩修来館、史記評林改訂
昭和二十八年三月  齊藤孝 
   <石碑B>

延喜式内上總一位宮 姉崎神社
一、御祭神女性 志那斗辨命、相殿日本武尊
一、隣郷 嶋穴神社 御祭神志那津彦尊御息所ナリ
一、御神木 樹齢七百余年神域六千余坪、御神殿三十六石
當地奇習 御祭神之松樹ヲ嫌フトテ氏子ハ一般新年松飾
用イズ庭園ニハ松樹ヲ植ヘズ、是、昔 夫神ノ狩猟ニ出カケ
ラレ御帰還ノ遅キヲ歎カセラレ「待」ヲ松ト化傳セラレタルモノト傳フ
一、御神輿ニハ御霊代ヲ奉遷ス是ヲ舁ク者ハ謹ンデ不敬ニ渉ラザル事、
渡御ハ厳粛ニ執行スル事
昭和二十八年三月 姉崎仲丁小川新宅 斉藤 孝
<裏>
 旧姉崎村鶴牧藩 史記評林改訂
藩校修来館ニ於テ藩主水野壱岐守唐本史記評
林之不備訂正を企圖セラレ館長田中篤実 豊田一貫其他
諸先生ノ努力ニヨリ小藩ニシテ此大事業完成シ遂ニ畏クモ
明治大帝御前開講ノ栄ヲ得タリ当時全区國学者間ニ於テモ史記鶴牧版
ト賞揚セラル此名誉ヲ後世ニ傳ヘントスルモノナリ
名勝
嘗テ、東都其角堂永機、孤山堂卓郎両大家当地名所八反甫
ニ遊ヒ夕陽ノ西山ニ傾キ残照我國勢田ノ夕照ニ勝ト左ノ一句遺ス
『春宵一刻價千金』ニ題シテ「名月の價けちらす光哉」卓郎
昭和二十八年三月 姉崎名所八反甫開発者 斉藤孝
   <石碑04>

   夕陽を
 比處に 眺めて
是程のものとは
 知らす春の宵
 葵巳春日 姉崎 斉藤孝
   七十七翁 世外
<裏面>
姉崎名所八反甫
当地俳人永野菁莪
画家広瀬蘆竹及東都
其角堂永機及孤山堂卓郎
等両大家等選定
日本随一夕照名所夕陽丘
愛郷記念 各所開発 齊藤孝
昭和二十八年三月
   <石碑D>

姉崎名所八反甫 新舞子濱
 富士筑波内湾一望夕陽丘
東京湾随一名所汐干狩
 避暑納涼安全第一海水浴場
魚漁釣舟網舟簀立網
 昭和二十八年三月 姉崎仲丁 齊藤孝
<裏面>
日本随一夕照名所
明治初年当地俳人永野菁莪
画家廣瀬蘆竹東都其角堂永機及孤山
堂卓郎宗匠等ト比地ニ遊ビ夕照ヲ眺メテ
我國勢田ノ夕照ニ勝リ日本随一ト
賞揚セラレ左ノ一句ヲ遺セリ
「春宵一刻價千金」に題して
 名月の價蹴ちらす 光哉  卓郎
  <石碑E>

 東京湾随一名所
 旧将軍家献上貝汐干狩
 各宮殿下各学校團体御来遊
 婦女幼童安全第一海水浴場
昭和二十八年三月 姉崎仲丁小川新宅 齊藤孝 
<裏面>
日本随一夕陽名所
眺望絶佳八反甫夕陽丘
魚漁 網舟 釣舟 簀立網
タイ、カレイ、キス、コチ、ボラ、セイゴ、
アジ、サヨリ、エビ、ハゼ、カニ、其他 
別荘好適地 所在別荘數百戸
   <石碑F>

旧姉崎村鶴牧藩壱万五千石城下三十六ケ村
神社  当社、椎津八坂神社、天羽田天照大神宮
佛閣  本山妙経寺旧御朱印拾石塔中拾坊末寺七ヶ寺
名勝  八反甫夕照名所、夕陽丘、遊園地
事蹟  義僕市兵衛記、孝子五郎傳
    姉崎鶴牧藩修来館、史記評林改訂
汐干狩 東京湾随一名所、旧将軍家献上貝
海水浴 婦女幼童安全第一、魚漁、網舟、釣舟、簀立網
昭和二十年七月 愛郷記念 姉崎仲丁住 齊藤孝    
<裏面>
義僕市兵衛記
彼ノ赤穂浪士ハ武士トシテ能ク其本分ヲ盡シタルモノナリ、
茲ニ義僕市兵衛氏ハ単ニ農僕ニ過キズシテ一朝主家の法難ニ際シテ
身ヲ以テ主ニ替ラント度々官ニ請ヒ又苦労以テ主家ヲ扶養シ社会ヲ感動
セシメ官ニ主ノ罪ヲ許サレ特ニ賞典ヲ賜フ茲ニ荻生徂徠、林大学頭両大家ハ
御撰文ヲ以テ賞揚セrsレ農僕ニシテ此ノ如キハ武士ニモ勝リ古今ニ其例ヲ見ザルモ
晋 其角 句アリ「起きて聞け此時鳥市兵衛記
孝子五郎、幼ヨリ親ニ仕ヘ孝ニシテ度々藩主ヨリ賞典ヲ賜フ
昭和二十八年三月 姉崎仲丁小川新宅 齊藤 孝