
佐原囃子は、毎年七月十〜十二日の八坂神社祭礼と、同十月の第二土曜日を中心とする金・土・日の諏訪神社祭礼に奉納されます。
由来は、田楽・里神楽を起源とし、享保六年(一七二一)頃に江戸の歌舞伎神楽の影響を受け発展しました。
明治になって、俗曲・俚謡を取り入れ、今日のような役物(やくもの)・段物(だんもの)・端物(はもの)に大別される多くの曲目が演奏されるようになりました。役物には「さんぎり」「馬鹿難子」「はな三番叟(さんば)」、段物の「巣ごもり」「さらし」「吾妻(あづま)」「神田(かみた)」「矢車(やぐるま)」、端物の「二遍返(にへんがえ)し」「津島(ぎゃま)」「大和(やまと)」「新吉野(しんよしの)」「剣ばやし」等があります。このほか、「ねこじゃねこじゃ」「いそべ」「大漁節」「佐原小唄」「佐原音頭」「阿波(あんば)」「大杉あんば」「かれすすき」「ラッパ節」等があります。
祭礼には、町内を練り歩く山車に、各芸座連(げざれん)が乗り込んで、鉦・大太鼓・小太鼓(つけ)・大鼓(おおかわ)・小鼓(こかわ)・横笛・摺鉦(すりがね)の楽器を用いて力強く演奏します。

「房総の祭りと技」 千葉県文化財保護協会発行 平成六年四月二十八日