
毎年七月十五日直後の土曜日に、須賀神社の祭礼の一環でつく舞が奉納されます。祭礼は、旧上町・中町・下町の三町で、「つく番」「神輿番」「迎え獅子」を交代で担当します。
夕方になって山車の練りの後に、つく柱と呼ばれる約十四メートルの柱に、蛙の仮面を被ったジュウジロウという役の者が上ります。そして、柱の上で曲芸的な演技を行います。柱の頂上では、破魔矢を四方に放ち、また、柱を支える綱でも技を披露します。柱の下には屋台が組まれ、締太鼓と笛の音でつく囃子が演奏されます。土地の古文書では、享和二年(一八〇二)の旱魃に際し、雨乞い祈願のためにつく舞が始まったといわれています。
野田のつく舞は、多古町の「多古のしいかご舞」と同系統の芸能として考えられており、現行のものとして貴重といえます。

「房総の祭りと技」 千葉県文化財保護協会発行 平成六年四月二十八日